「初詣」

すでに15日が過ぎてしまったが、まだの人もいるようなので。
４、５年前までは、日付が変わったらすぐ、まだ暗いうちに近所の神社に参拝していた。
その前日、要するに大晦日の昼頃、時間にすると約１２時間前に、古いお札や神棚の大根締めを持って来て、どんどん焼きに放り込む。
ついでに「一年無事に過ごせました、また後で来ます」と手を合わせる。
神社に来たので、神様に挨拶ぐらいするのが筋だと思っている。
年の最初と最後に、近所の神社に行くのが、この何年かの習慣になった。
その前は、有名どころに行ったり、２月か３月、ひどい時は７月に初詣に行ったりしていた。
その年の初めのお参りが初詣なら、１２月でも初詣になるはず。
本音を言うと、神の存在など信じていない。
これまで、有名な神社仏閣で手を合わせて願いごとを告げると、必ずといっていいほど、うまくいかなくなった。
それまで順調に進んでいても、手を合わせたのが合図にでもなっているかのように、裏目に出る。
それでも、逆のことをお願いする勇気はない。
それが原因で、神など信じなくなった。
ことごとく裏目に出る、ということは、裏を返せば『神はいる』と認めているんじゃないか、ということにもなる。
そう考えて、裏目に出る有名どころに行くのをやめ、大晦日と元日に、家から一番近い神社に行くだけになった。
仮に有名どころに行っても、手を合わせない、願い事も言わない。頭を下げるだけで、そのまま帰る。
宝くじが当たると評判の、唐津にある宝当神社でその禁を破り、さらにお札まで買ったが、やっぱり宝くじはハズレた。この１年、ご利益はない。お札の有効期限がまもなく切れる。

話を初詣に戻す。
寒い中、一時間近く並ぶことに疑問を感じ、暗い時間に行くのをやめた。
こんなに大勢の人が来たら、神様も願いごとなんて聞いていられないだろう。
参拝客に背を向けるに違いない。
そもそも、神は人が創りだしたもの。
徳川家康や菅原道真は神格化した。
宝当神社の神も元は人。
だとしたら、神も夜は眠るんじゃないか？ と都合の良い解釈をし、日が出てからお参りに行くことにした。
要するに、神が目を覚ましてから、一番にお願いしたいのである。
日付が変わってからすぐ行くのと、感覚は変わらない。
そこで、近くの土手で初日の出を拝んでから神社に向かう、ということを、この３、４年続けている。
初めの年は、年賀状のネタに困っているうちに大晦日がきてしまったので、その初日の出を撮影し、神社での初詣もソコソコに、サッサと家に帰り、パソコンで年賀ハガキに印刷し、その作業中に年賀状が届いた人の宛名を書いて、ハガキをポストに投函した。
都合の良い解釈をするくせに、初詣をあまり重視していないのである。
次の年は、目が覚めた時には、すでに日が昇っていた。
今年は、初日の出に間に合った。
初日の出の名所でも何でもない近所の土手は、去年まで見物客が２０人程度しかいなかったのに、今年は１００人以上いたように思う。
もっと驚いたことは、まだ暗いうちから、土手を走っている人がいたことだ。
元日の夜明け前である。
１人ではない。５人以上はいた。とても真似できない。
大晦日と３が日は、正月休みだと言い訳し、自分は走らなかった。
太陽が顔を出すと、手を合わせてから、急いで神社に向う。
すでに先客がいた。
一番にはなれなかった。
自分のあとからも、数名が来た。
やはり、同じようなことを考えているのだろうか。

いろんな思いで初詣をしたが、３日に放送していたテレビを見て、考えこんだり、都合の良い解釈をしていたのが、バカらしく思えてきた。
初詣は、実はバレンタインデーと同じで、鉄道会社が作ったものだという。
初詣という習慣は、明治に始まったのである。
さらに、神社に行くべきか、寺に行くべきか、という問いには、
神社も寺も、同じ回答をしていた。
「どっちでも良い」
その潔さに、納得した。
そもそも、神も仏も似たようなもの。だから、どっちでもいいのだと言う。
日本人は神を崇拝してきたが、仏教が伝来した時、仏像を見てかっこいいので、我々も取り入れようと、始まったとか。
願い事をする場所ではないのかもしれない。
歯をみがいたり、顔を洗ったり、トイレに入ったり、風呂に入ったり、挨拶をしたり、
日常やっていることと同じような感覚で、手を合わせればいいのではないか。と思ってしまった。
そんなことがあり、毎朝我が家の神棚に手を合わせているのだが、欲のカタマリであるため、毎回「宝くじで１等前後賞あわせて３億円当たりますように」と拝んでいたが、次の日からやめた。
手を合わせるが、何も思わない。無心である。
それで良いような気がする。
だから、初詣も「今年も適当にやります」で良いんじゃないかな。
そして、大晦日に「今年一年、無事に過ごせました」と報告する。
これが習慣化しているのだから。

バレンタインデーにチョコをもらうのは、習慣化していない。
もう何年も・・・。
甘いものは好きなのに・・・。

は。