2009/10/10

夕方、首都高速を走ってしまった。
車で、ではない。
自分の足、RUNという意味である。
昨日、台風の影響で線路を歩かされた人たちのニュースを見て、巻き込まれる前に家を出て良かったなぁ、なんて思った翌日、こんなことに巻き込まれるとは。

夕方5時前に大宮から首都高速に入った。終業の5時半には会社に戻れるかな、などと言いながら、掲示板を見ると、志村から板橋本町まで事故渋滞1キロと表示されている。
大したことないだろうと車を走らせると、ラジオから交通情報が。
反対車線の下りで、トラックが横転したようだ。
反対なら見物渋滞だな、などと呑気に隣の同僚と話しながら快調に進む。
荒川を越え、大きく左にカーブし、少し走ると渋滞の最後尾についた。
少し走っては止まり、という最悪な渋滞。
「見物にしては、ひどくない?」
止まっている時間の方が長い。
また交通情報が入る。
どうやら下り車線は通行止めになったようだ。
確かに下り車線は一台も車が走っていない。
「下り車線の真ん中で写真撮ったら、面白い絵になりそうだな」なんてことが言える余裕が、この時点ではまだあった。
しかし、大きく右に曲がるカーブの手前でトイレに行きたくなってきた。
この場で車を止めて、横でしちゃっても、何の影響もない位ほとんど動かない。
また交通情報が入った。
どうやらこっちの上り車線も通行止めになったようだ。
どういうことだ?
超ノロノロだけど、動いている。
次の出口で強制的に下ろされるのか。
にしても、次の板橋本町出口は、志村の料金所の先だ。
このペースだと、あとどれくらい時間がかかるのかも、わからない程動きが遅い。
料金所の手前のパーキングまでは、我慢しようと思うが、ゴールが見えないと、だんだんヤバくなってくる。
取材のヘリコプターが、4機も飛んでいる。
ほとんど動かなくなった。
渋滞に巻き込まれてから、もう30分以上たっている。
通行止めってことは、ある地点から先には進めないってことか?
今までは、前との間を詰めるために前に進んだだけで、もう前には進まないのか、
いつになったら抜けられるのか、今日中に会社に着けるのか、
と不安になってくる。
しばらくすると、動き始めた。
と言っても、相変わらず、動いては止まり、動いては止まり、であるが、今度は動いている時間のが長い。
だんだん料金所が見えてきた。
トイレはもうすぐだ、と思ったのも束の間、再び動かなくなった。
目の前に見えるのに、先に進まず、もう限界と、隣の同僚に言った。
「ちょっと行ってくるから、先に進めてて」
と、運転席を下り、同僚が変わりに運転席に座った。
首都高速の本線車線で、運転手が入れ替わる、ということだけでもあり得ないのに、
右車線の車の間を横切り、約100m程壁際を走って、パーキングに入った。
たくさんの人にビックリしたような顔で見られたが、そんなことを気にしている場合ではない。
用を足して、再び高速道路を逆に走ると、車を発見した。
また右車線を横断して、車の助手席に乗り込む。
またビックリしたような顔で見られた。
もうどうでもいい。
先ほどから、50mも進んでいない。
ムチャクチャなことをしたのはわかっているが、この3分くらいで50mしか進まない状態も考えてほしい。
 
その後、料金所を過ぎて合流すると、少しずつだが流れはじめ、事故現場についた。
なるほど、下り車線の真ん中でトラックが横転している。
周囲にはトラックの積荷であるコンクリートの塊が散乱している。
そして、こちらの上り車線にもコンクリートの塊が散乱し、普通乗用車が1台止まっていた。
フロントガラスがメチャクチャに割れ、屋根も大きく凹み、屋根とフロントガラスが離れてしまっている。
運転手は大丈夫だったのか? と思わずにはいられない。
その大破した車の周りにも、コンクリートの塊が散乱している。これが当たったのか。
これでは、こっちも通行止めにしないと、片付けられない。
それに、開通まで何時間かかるか、わからないくらいの状態だ。
 
転したトラックの後ろには、足止めをくらったバイクや車、バスが何百台と連なっている。
自分が我慢した以上の時間、この人たちは待たされているはずだ。
あっちだったら、確実に高速道路の上で我慢できずにしていた。
それどころか、いつになったら動けるのかもわからないだろう。
目の前にひっくり返ったトラックと、大量のコンクリート塊。
もう諦めた、といったような表情が、たくさん並んでいた。
車から降りている人も、当然たくさんいる。
走ってトイレに行った、なんてレベルじゃないはず。
どうするんだろうか?
長距離を走るバスならトイレもついているが、ほとんどの車にはそんなものはない。
 
運が良いのか悪いのか・・・。
まだ良かったのだと思うことにする。
 
は。

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